漏電の調べ方|工場設備での確認手順と判断基準
―「ブレーカーが突然落ちた」「雨の日だけ設備が止まる」
それ、工場で起きやすい漏電のサインかもしれません。
漏電は感電や電気火災につながる危険なトラブルで、対応を誤ると作業者の安全だけでなく、
生産停止や設備損傷といった大きな損失を招きます。
一方で、初動の確認ポイントと判断基準を押さえておけば、現場で安全に切り分けできるケースも少なくありません。
本記事では、工場で漏電が疑われたときにまず確認すべき症状、分電盤・ブレーカーを使った調べ方、
自分で対応できる範囲と業者に依頼すべき判断基準を、実務目線でわかりやすく解説します。
こんな方におすすめ:
- 工場で突然ブレーカーが落ち、原因の切り分けに困っている方
- 漏電かどうかを安全に判断する基準を知りたい設備・保全担当者
- 業者を呼ぶ前に、現場でできる確認だけは押さえておきたい方
漏電の調べ方│まず最初に確認すべき症状
工場で「漏電かも」と感じたら、最初に確認すべき症状は、
「ブレーカー(漏電遮断器)が落ちる」「金属部に触れるとピリピリする」「雨天・結露がある日にだけ異常が出る」の3つです。
これらの場合は、原因の特定より先に、作業者の安全確保と設備停止を優先して、手順に沿って切り分けに入るのが最短ルートです。
感電は職場の災害の中では件数順位が高いタイプではない一方、致死率が高くなりやすい事故として扱われており、
厚生労働省の安全衛生情報でも、感電災害の推移や、漏電遮断器の設置などの制度・対策の重要性が示されています。
工場は「水気・粉じん・油・振動・配線の屈曲」など、症状が出たり消えたりしやすい環境要因が多いです。よって、症状が軽く見えても“再現条件”を押さえるのが重要です。
最初の確認は、原因究明ではなく「危険度の見立て」です。
次のいずれかに当てはまる場合は、切り分け作業に入らず、ただちに設備を停止し、電気担当者(保全・電気)にエスカレーションしてください。
- ピリピリ(微弱でも)感じた
- 焦げ臭い/異音がある
- 雨天・結露のタイミングで同じ系統が落ちる
- 盤内や機械周辺に水滴・漏水・結露が見える
この段階でのゴールは「漏電の定義を理解する」ではなく、「症状から危険度を判断し、次の切り分け手順に安全に入れる状態を作ること」です。
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ブレーカーが落ちるとき
電気設備は、地絡(漏電を含む)が生じた際に感電や火災のおそれがないよう、遮断器の施設など適切な措置を講じることが求められています。
ブレーカー(特に漏電遮断器)が落ちるときの漏電の調べ方は、「どの回路・どの設備がトリガーか」を短時間で絞り込むことです。
工場では、闇雲に再投入を繰り返さず、負荷を切り分けて“落ちる条件”を1つずつ潰します。
現場での基本フロー:
- 設備を停止し、作業者を離隔
- 晩の表示・系統名を確認
- 落ちた系統の負荷を可能な範囲でOFF
- 遮断器を復帰
- 負荷を一つずつONして再現確認
触るとピリピリする場合
金属部を触ってピリピリする場合は、漏電の調べ方より先に「触らない・近づかない・通電状態を変えない」を徹底し、設備停止と電気担当者への連絡を最優先にしてください。
これは“軽い症状”ではなく、感電につながる重要サインです。
工場で多いパターン:
- 機械フレーム、制御盤、配管支持金具、金属カバーなど“触れやすい金属”で発生
- 発生タイミングが「湿気」「清掃後」「洗浄後」「雨天」「冷暖房切替」など条件依存
現場における安全面の対応(やること/やらないこと)
やること :設備停止、作業者退避、再現条件の記録(いつ・どこ・何に触れて・どの程度)
やらないこと:素手で再確認、濡れた手袋で触る、アース線を付け直して様子を見る、原因不明のまま運転継続
雨の日に起きやすい場合
雨の日に起きやすい漏電の調べ方は、「水分が入り得る経路」と「雨天時だけ条件が成立する設備」を特定することです。
晴天時に再現しない漏電は、“場所”よりも“条件”を押さえるのが近道です。
工場で「雨の日だけ」になりやすい典型例
- 屋外配線・屋外盤・ケーブル引込部からの浸水
- シャッター周辺・搬入口付近の吹き込み
- 結露(雨=湿度上昇、外気温差で盤内や端子部が結露)
- 清掃や洗浄が雨天と重なり、乾き切らないまま稼働
切り分けのコツ(現場で使える観察ポイント)
- 「雨が降り始めてから何分後に起きるか」「降雨量が増えた時か」「翌朝の立上げ時か」を記録
- 発生時に、盤の扉周り、ケーブルグランド、配管貫通部、屋外接続箱の“濡れ・水滴・筋”を目視確認(触らない)
- 同じ系統で再発するなら、雨天時だけ使う負荷(屋外ファン、ポンプ、搬送設備など)から優先して疑う
漏電は「どんな条件で漏れるか」を掴むほど復旧が早くなります。
時刻・天候・稼働設備・落ちた系統などの記録がそのまま、最短解決の材料になります。
漏電の調べ方│分電盤・ブレーカーで確認する手順
工場で漏電が疑われる場合、分電盤とブレーカーを使った確認は、現場で実施できる最も基本的かつ重要な切り分け手順です。
この段階の目的は「漏電しているかどうかを断定すること」ではなく、「どの系統・どの範囲に異常の可能性があるかを安全に絞り込むこと」にあります。
分電盤は各設備・回路の電源が集約されており、遮断器の動作状況を見ることで、異常の発生範囲を比較的短時間で把握できるためです。
電気設備に関する技術基準や安全指針でも、漏電時には回路単位での遮断・確認を行うことが前提とされています。
大事なポイントとして、「確認作業は必ず設備を停止し、関係者に周知したうえで行う」こと、また「無理な復電を繰り返さない」ことが挙げられます。
分電盤での確認は、正しい手順を踏めば有効ですが、焦って操作すると二次トラブルを招くおそれがあります。
分電盤・ブレーカーでの確認は「安全第一」「記録を残す」「切り分けに徹する」という3点を意識することで、後工程の調査や判断を大きく助けます。
漏電遮断器を使った基本的な調べ方
漏電遮断器を使った基本的な漏電の調べ方は、「一度すべての負荷を切った状態で遮断器を復帰させ、異常の有無を確認する」ことです。
これにより、常時発生している漏電か、特定の設備が動いたときに発生する漏電かを切り分けられます。
実際の手順としては、該当系統につながる設備の主電源をすべてOFFにし、その後に漏電遮断器をONにします。
この時点で遮断器が落ちなければ、配線そのものよりも、設備や機器側に問題がある可能性が高いと判断できます。
注意点として、遮断器が復帰したからといって即座に設備をフル稼働させるのは避けてください。必ず段階的に確認を進め、遮断器の状態を都度確認することが重要です。
回路ごとに切り分けて調べる
漏電の可能性がある場合、回路ごとに切り分ける調べ方が最も有効です。
複数の設備が同一系統につながっている工場では、回路単位での切り分けを行わない限り、原因特定は困難になります。
工場設備は稼働条件や使用頻度が異なるため、すべてを一括で確認すると再現性が低くなり、漏電の有無を正確に判断できなくなるからです。
実務上は、分岐ブレーカーを1回路ずつONにしていき、その都度漏電遮断器が動作しないかを確認します。
どこかの回路を入れた瞬間に遮断器が落ちた場合、その回路に接続されている設備や配線が重点調査対象となります。
大事な情報として、切り分け中は「どの回路を入れたときに、何が起きたか」を必ず記録に残してください。後から専門業者や電気担当者が確認する際、この記録があるかないかで調査効率が大きく変わります。
回路ごとの切り分けは時間がかかるように見えて、結果的には最短で安全な漏電調査につながる方法です。
途中で遮断器が落ちた場合の判断方法
切り分け作業の途中で遮断器が落ちた場合、その時点での状況を冷静に整理し、無理に作業を続行しないことが重要です。
遮断器が落ちるという事実自体が、危険のサインであることを忘れてはいけません。
遮断器の動作は偶然ではなく、一定以上の漏電や異常が検知された結果です。再投入を繰り返すことで、異常箇所の劣化や二次災害につながる可能性があります。
具体的には、「どの回路を入れた直後か」「天候や湿度はどうだったか」「設備は冷間か稼働直後か」といった条件を整理し、
その回路や設備を切り離した状態で作業を止めます。
そのうえで、以降の判断は電気の専門担当者や外部点検に委ねるのが安全です。
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自分で確認できる範囲と注意点
工場設備は電圧・電流が大きく、配線構成も複雑なため、見た目では安全そうに見えても内部で危険な状態が進行しているケースが少なくありません。
制度面でも、電気設備の点検・修繕は有資格者による作業が前提とされています。
工場における漏電調査の第一段階で対応できることは、「症状の把握」「分電盤・ブレーカーを使った一次切り分け」「再現条件の整理」までです。
大事なポイントは、「自分で調べる=原因を直すこと」ではないという認識です。あくまで現場でできるのは、危険を察知し、異常の範囲を整理して、次の専門対応につなげることです。
自分で確認できる範囲を正しく理解することが、事故を防ぎ、結果的に復旧を早める近道になります。
漏電を調べる際にやってはいけないこと
漏電を調べる際に最もやってはいけないことは以下の三つです。
- 何度も遮断器を入れ直す
- 通電中の設備に触る
- 自己判断で応急処置をする
これらは一時的に症状を隠すだけで、根本的な危険を増幅させかねません。
遮断器が動作するたびに異常箇所には負荷がかかり、絶縁の劣化や発熱が進む可能性があります。
また、アース線の付け替えや仮配線などの応急処置は、電流の流れを変えてしまい、別の場所で感電や火災を引き起こす要因になります。
「早く動かしたい」という気持ちが強い場面ほど、一度立ち止まり、やってはいけない行動を避けることが、安全確保のうえで非常に重要です。
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感電や火災を防ぐための安全な漏電の調べ方
「止める・離す・記録する」を徹底することです。異常を感じたら設備を停止し、人を近づけず、状況を整理して記録に残します。
漏電は条件によって発生したり消えたりするため、記録がなければ再現性の判断ができず、調査が長期化しやすくなります。時刻、天候、稼働していた設備、遮断器の状態などは、後の専門点検で非常に有効な情報です。
安全に調べるための実務ポイント
- 触らずに目視で確認する
- 濡れた床や金属部には近づかない
- 関係者に「調査中・復旧未定」であることを共有する
- 一時的に復旧しても、再発の可能性を前提に扱う
自分で調べても解決しない場合
分電盤・ブレーカーによる切り分けを行っても原因が特定できない場合は、その時点で専門業者に依頼すべきです。自力調査を続けても、安全性も精度も向上しません。
理由として、一次切り分けで分からない漏電は、配線内部・盤内部・設備内部など、目視や操作だけでは確認できない箇所に原因がある可能性が高いためです。
これらは測定器を使った確認や、電源を完全に遮断したうえでの作業が必要になります。
具体的には、以下のような状態が続く場合が該当します。
- どの回路でも断定できない
- 再現条件が不明確で、発生したりしなかったりする
- 一度復旧しても、時間や条件を変えると再発する
- 疑わしい設備が複数あり、切り分けが進まない
すぐに専門業者へ相談すべき漏電の症状
以下の症状が1つでも当てはまる場合は、切り分け作業を中断し、専門業者への相談を検討してください。
これらの症状は感電や火災に直結する可能性があり、再発や悪化のスピードが速い傾向があるためです。
- 金属部に触れると明確なピリピリ感がある
- 焦げ臭いにおい、異音、発熱がある
- 雨天や結露時に必ず遮断器が動作する
- 遮断器を復帰させてもすぐに落ちる
- 盤内や設備周辺で水滴・浸水・結露が確認できる
これらが確認された場合、自己対応を続けることで被害を拡大させるリスクがあります。
「人が危険を感じる症状」「設備が異常を示している症状」は、専門対応が必要な判断基準です。
漏電調査を依頼する際のポイント
漏電調査を業者に依頼する際は、「現場で整理した情報を正確に伝えること」が最も重要です。これにより、調査時間とコスト、停止時間を最小限に抑えられます。
漏電は再現条件や発生タイミングが重要であり、現場の情報が不足すると、調査が長期化しやすくなるためです。
依頼時に整理しておきたいポイントは以下の通りです。
- いつから発生しているか
- どの設備・どの回路で起きたか
- 発生時の天候、湿度、稼働状況
- 遮断器が落ちたタイミングと回数
- 自分たちで実施した切り分け内容
これらを簡潔に伝えることで、業者は初動から的確な調査に入ることができます。
漏電調査は「丸投げ」ではなく、「現場情報を引き継ぐ共同作業」です。正しい判断基準と情報整理が、安全で確実な解決につながります。
