絶縁監視ソリューション

絶縁監視装置「漏電ポリス」



絶縁監視装置の仕組みとは?基本をやさしく解説

絶縁監視装置は、電気設備の「絶縁状態」を常に監視するための機器です。
電気が漏れ出す「漏電」や、劣化した配線によるトラブルを早期に検知し、感電や火災といった重大事故を未然に防ぐ役割を果たします。
特に、常時電源が供給される施設や無人設備などで、従来の定期点検では対応しきれないリスクをカバーするために有効です。
この装置は、接地と活線の間に流れる微小な漏れ電流を常時測定し、異常を検知するとアラームを発する仕組みになっています。つまり、絶縁監視装置は「目に見えない危険」を可視化し、24時間体制で電気設備の安全性を担保する高度な安全装置なのです。
絶縁監視方式には複数のタイプ(Io方式、Ior方式、Igr方式)があり、それぞれ検出方法や得意分野が異なります。

絶縁とは?電気設備における基本知識


絶縁とは、電気が本来流れるべきでない経路に流れないように遮断・隔離することを指します。具体的には、電線の被覆や機器の外装に用いられる絶縁材料が、外部への漏電や感電を防いでいます。
電気設備では、この絶縁状態が劣化すると、漏電・感電・火災などの重大な事故が起こる可能性が高まります。
つまり、絶縁状態の健全性を保つことは、電気設備の安全運用において最も基本かつ重要なポイントなのです。


絶縁劣化による漏電



絶縁監視装置が必要な理由と役割


絶縁監視装置が必要とされる最大の理由は、「目視や定期点検では把握できない異常」を、リアルタイムで監視できる点にあります。
特に、電源の停止が許されない設備では、常時監視によって絶縁状態の変化を即座に把握し、事故を未然に防ぐことが求められます。また、絶縁監視装置を設置することで、労働安全衛生法や消防法、電気設備技術基準などの法令遵守にもつながります。
たとえば、特別高圧設備や無人施設では、月次点検の代替手段として絶縁監視装置の設置が推奨される場合があります。

絶縁監視装置は、配線や機器の劣化による微小な絶縁不良の兆候を早期に捉え、アラームや記録データを通じて異常を知らせる役割を果たします。
特にIor方式やIgr方式などの高精度な検知技術を備えた機器であれば、従来方式では検出しづらい漏電も確実に捉えることが可能です。




絶縁監視装置の導入メリットとは?


絶縁監視装置を導入することで得られる最大のメリットは、「電気設備の安全性と可用性を同時に高められること」です。
まず、常時監視による早期異常検出により、漏電や感電、火災などのリスクを事前に察知し対処できます。これにより、事故による損害や作業中断を回避できるため、結果としてダウンタイムや修理コストの大幅な削減につながります。

次に、点検工数の削減も大きな利点です。例えば、従来の月次点検では、作業員がすべての絶縁抵抗を測定する必要がありましたが、絶縁監視装置を設置すれば、その一部を自動化・省略できる場合があります。
特に、竹中電機が提供するIoT対応型の絶縁監視システムでは、遠隔監視やアラーム通知も可能で、人的リソースを効率化しながらも高い安全性を確保できます。

さらに、導入後に取得したデータを分析することで、設備の劣化傾向を把握し、計画的な保全や機器更新の最適化も実現可能です。
これらの点から、絶縁監視装置は「設備の信頼性向上」「保全業務の効率化」「リスク管理の強化」において、極めて効果的なソリューションといえるでしょう。




★竹中電機の絶縁監視ソリューション
https://www.takenakadenki.co.jp/products/insulation_solutions/




絶縁監視システム構成例



絶縁監視装置の仕組みと方式の違い


絶縁監視装置にはいくつかの検出方式があり、それぞれに特長と適用分野があります。
代表的なものが「Io方式」「Ior方式」「Igr方式」の3つです。これらはすべて、絶縁不良による漏れ電流を検出する目的で使われますが、測定対象や感度、検出手法に違いがあります。
Io方式はもっとも基本的な方式で、導体から地面への合計漏れ電流を監視します。
Ior方式・Igr方式は、ノイズや高調波に強く、より選択的かつ高精度な検出が可能な技術です。設備の規模、周囲環境、要求される安全性レベルによって、適した方式を選ぶことが重要です。


Io方式の仕組みと特徴


Io方式は、絶縁監視装置の中でも最も一般的かつ基本的な方式です。この方式では、系統の中性点や絶縁された導体に流れる合成漏れ電流(Io)を測定します。
構造としては、電流検出用のゼロ相変流器(ZCT)を用いて、系統の全体的な漏れ電流を常時監視します。異常な漏れ電流が一定のしきい値を超えると、アラームが発報されます。

Io方式は構造がシンプルでコストも抑えられるため、幅広く使われています。
ただし、この方式ではノイズや高周波成分の影響を大きく受けるため、小規模な設備や予算重視の環境では適していますが、高度な診断能力は期待できません。
このように、Io方式は「絶縁監視の第一歩」として導入しやすく、定常的な漏電監視には有効です。


単相ベクトル図



Ior方式・Igr方式との違い


 Ior方式は、ZCTで測定された漏れ電流Ioと電路電圧を用いて、電気的な絶縁抵抗成分(Ior)のみを演算で抽出します。
インバータ等の影響で発生する静電容量成分(Ioc)の影響を軽減できるため、インバータ設備や中規模プラント等で広く導入されています。

一方、Igr方式は、低周波の監視電圧を系統に重畳し、その信号に対する漏れ電流を測定します。これにより、静電容量成分を明確に分離し、配線全体の絶縁状態を高精度で監視できます。
中性線を含む全系統の絶縁悪化も検出可能なため、特に高信頼性が求められる施設に適しています 。
ただし、Igr方式では、監視装置本体とは別に重畳用トランスが必要になるため、他の方式よりも導入コストは高くなる傾向にあります。


絶縁監視装置の方式選びのポイント


絶縁監視装置を選ぶ際には、対象設備の規模、環境、運用体制に応じて最適な検出方式を選ぶことが重要です。
まず、「漏電が発生したらアラームを出すだけで十分か」「詳細な場所特定や履歴データも必要か」といった目的を明確にする必要があります。
小規模施設や限定的な監視であればIo方式でも対応可能ですが、複雑なシステムや止められない設備を監視する場合は、Ior方式・Igr方式の導入を検討すべきです。
特に、インバータやノイズの多い環境ではより高精度な監視装置が有効です。

また、竹中電機が提供する絶縁監視装置であれば、監視精度と利便性の両立が可能です。
IoT連携により、遠隔監視やトレンドデータ分析も活用することで、設備保全の品質を飛躍的に高められます。

絶縁監視は「導入して終わり」ではなく、運用して初めて価値が出る技術です。
適切な方式を選び、維持管理体制とセットで導入を進めることが、効果的な活用のカギとなります。



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絶縁監視装置の設置と注意点


絶縁監視装置を正しく機能させるには、設置環境に応じた配線方法や設置ルールに沿って取り付ける必要があります。不適切な設置や配線は、誤作動や検出漏れを引き起こす原因となるため、慎重な確認と技術的配慮が求められます。
この章では、設置時の基本的な考え方や注意点、交換時の確認事項、トラブルを未然に防ぐためのポイントについて解説します。




絶縁監視装置設置工事


絶縁監視装置の設置ルールと配線方法

絶縁監視装置の設置では、各方式の特性に応じた配線が必要です。代表的な方式であるIo方式では、電路を構成する全ての相線をゼロ相変流器(ZCT)に通して漏れ電流を測定します。このとき、ZCTの配線に一部の相線が含まれていなかったり、巻き方向に誤りがあると、誤検出や検出不能のリスクがあります。
また、より高精度な検出を行うIor方式やIgr方式では、電流だけでなく電圧や信号成分を利用した測定が行われるため、装置の仕様に基づいた結線が求められます。たとえば、一定の条件下では対地容量成分の影響を受ける場合があるため、回路構成や周辺環境を踏まえた配線設計が重要です。

交換・更新時の注意点とは?

絶縁監視装置を交換・更新する際には、旧装置との違いを十分に理解した上での作業が求められます。
特に検出方式が異なる場合、既存の配線や測定ポイントとの整合性に注意が必要です。たとえば、Io方式からIor方式へ変更する場合は、単に装置を置き換えるだけでは十分な精度を確保できない場合があります。
また、最近ではネットワーク対応型やIoT機能を備えた絶縁監視装置も登場しており、遠隔での監視や通知機能が活用されています。こうした装置に更新する場合は、電気的な接続に加えて、通信ネットワークの設計やセキュリティ面も含めた考慮が必要になります。
交換時には、装置メーカーが提供する工事マニュアルや技術資料に基づき、設置前の事前調査や試運転を行うことで、トラブルの発生を抑えることができます。

トラブル防止のチェックポイント

絶縁監視装置の設置や運用に際して、トラブルを防止するためには以下のようなチェック項目が有効です。

  • 監視対象の回路すべてがZCTに通されているか
  • 回路の配線方向や接続方法に誤りがないか
  • ノイズ源(インバータ等)の影響を想定し、必要に応じてノイズ対策が施されているか
  • 装置の接地が規定通りに行われているか
  • 設定されたアラーム値や感度が設備の仕様に合致しているか
  • 導入後の試験・記録機能によって、正常に動作していることが確認されているか

これらのチェックを定期的に行うことで、機器の誤動作を防ぎ、絶縁劣化や漏電リスクを早期に把握することが可能になります。
導入後も継続的に監視体制を維持することで、より安全で効率的な電気設備運用が実現できます。


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